箱根駅伝に出たかった
正月の風物詩「箱根駅伝」
僕が初めてみたのは、小学校の低学年の時
早稲田大と山梨学院大のデッドヒートをテレビで見て、なぜだかとんでもなく興奮したのを覚えている。
それから、数十数年後箱根駅伝出場を夢見て、僕は超名門大学に進学する。
実は結構足が速かった僕は、インターハイにも出場するくらいになっていたので、「箱根駅伝出場」も現実的な目標だった。
しかし、超名門大学はバケモノばかりいて、僕は「3軍」だった。
今日はそんなテレビの隅にも映らない3軍のお話。
一軍:神 2軍:神の使い 3軍:下僕
僕がいた部活は、駅伝チームに50人くらいが所属しており
1軍:16人 ※箱根駅伝エントリーメンバー
2軍:10人程
3軍:それ以外(20人くらい)
マネージャー:5人くらい
という構成。
普段はこれがただの、グループ分けという感じで、1軍も3軍も分け隔てなく仲良くやってる。
しかし、箱根駅伝が近づくにつれこれが、「カースト」に変わっていく。
1軍は「神」
「箱根駅伝で最高の走りをすること」に向けて様々な特別待遇を受けることが出来る。ただし、プレッシャーは半端ない。
2軍は「神の使い」
練習パートナー等として神様に仕える。ただ、その多くは「あと一歩」のところで箱根駅伝メンバーから落ちてしまった実力者。涙をのみ悔しい気持ちを噛み殺している。
そして3軍:下僕
メンバーにはかすりもせず、練習パートナーになれるほどの実力もない。だから「それ以外」でチームを支える。
3軍のお仕事
1、朝食の準備
僕の部活は全員寮生活であるが、寮母さんとかはいないかった。
普段から食事は各自で準備するが、箱根駅伝前は3軍が1軍の朝食を準備する。
2、焚火
箱根が近づくと、偉そうな大人が朝から練習を見に来る。
名顧問とか、OBとか、スポンサーの方とか、普段一切顔を出さないが「コーチ」の肩書を持つ謎の人物とか
彼らが暖を取るための焚火を3軍が準備する。
※ちなみに構内は火気厳禁だが、これはなぜか例外。
3、コーヒー・お茶・カップラーメンの準備
えらそうな人達は、練習を見終えると校舎にぞろぞろ入って色々おしゃべりをする。
彼らの為にお湯を沸かし、コーヒー・お茶・カップラーメンをどれにするかお伺い。ご注文に合わせて準備する。
4、風呂の準備
朝練を終えた神様がすぐにお風呂に入れるよう、寮の大浴場を掃除しお湯をはる。
5、轍づくり
年末の朝は冷え込むため、練習コースには「霜・氷・雪」がある場合もある。神様が滑って転んでしまわぬ様、3軍が事前に走り轍を作る。
これらが、3軍の主なお仕事で基本的には朝のお勤め。
5時ぐらいから準備。
朝練は6時くらいから1時間。
グランドにいる3軍は終わるまでひたすら待つ。
※一緒に練習は「目ざわり」という理由でしてはいけない。
いついかなる時も「えらい大人」に対応できるよう準備していなければならない。
くそ寒い。
あと、部内はかなりピリピリする。
3軍は空気を読んで、基本おとなしくしている。
俺たちは練習ないから、遊び行こうぜ!って感じにはならない。
「チーム一丸」と言えばそれっぽいが、実際はそんな雰囲気ではない。
「箱根駅伝選手」という言うと聖人のような好青年に見えるが実際は普通の大学生。
特別扱いされて勘違いする奴も中にはいる。
例えば、ある日朝食係が炊飯を失敗した。
ある神様は
「お前のせいでご飯が食べられない」
「俺は夜までミカン1つしか食べられない」
と仰っていた。
いや、コンビニ行ってなんか買えよ。
つーか普段はてめえで自分でやってんだろ。
なんでわざわざ飢えるんだ。
全員思っていたが、我慢。
1軍はもっと壮絶なプレッシャーの中で日々を過ごしているんだ。
3軍のジレンマ
冒頭書いた通り、1軍も「仲の良い友達」であるため、彼らには最高の走りをして欲しい。
でも大学は休み。世はクリスマス。それが終われば年末。年始。
世の大学生は遊びまくっている。
一方俺は雑用。
志した目標もいつの間にか遠くにある。
ああ何やってんだろうな。
俺だって、遊びたい!
俺だって、デートしたい!
俺だって、バイトしたい!
俺だって、旅行とかいきたい!
俺だって、実家帰りたい!
俺だって、酒飲みたい!
俺だって、本当は箱根駅伝走りたい。。。。
そして僕はひねくれた
僕は、3軍を経てマネージャーになったので、4年間で下僕を極めた。
その間ずっとジレンマ抱え続け、僕はひねくれた。
まず、世の大学生を憎んだ。
ちくしょう、あいつらチャラチャラしやがって。
なんだねその変な髪形は、街中で大声出してみっともないと思わんかね!!
タバコ吸うな。酒のむな。髪染めるな。
特にハロウィンで仮装しているお前だけは絶対に許さない!!
でもそれ以上に許せないのは、体育会系を名乗る奴はそこのお前だ。
体育会系といってお前がやっているのは、訳の分からない名前のサークルだろがい。
なんだよ「~~サークル副代表」って
なーにが
「代表が熱すぎて回りえなくなるから、僕がサポートしてました。」
だよ。
なーにが
「後輩からは裏番長って呼ばれてた 笑」
だよ。
お前いなくても、誰も困らんよ。本当はお前のコト慕ってる後輩なんていねえよ。
だから間違っても後輩の卒業式なんて行くなよ。
お前のことなんてその瞬間まで忘れてるし、お前に時間とられるの嫌だからな。
あと、それから「俺は一応部活だった。」っていう体育会系名乗っているそこのお前よく聞け。
なにが「一応」だよ。
「一応」なんてねえんだよ
お前やってるその名前も知らないようなスポーツの部は部活じゃねえから「一応」も「部活」もいらねえよ。
「趣味」だよ「趣味」
それから正真正銘の部活だけど、「シーズンオフ」が1カ月くらいあるそこのお前もよく聞け。
お前らモテるだろ、ふざけんな!
シーズン中はキラキラして?~~選抜とか入って?トレーニングも頑張って?男とは友情が芽生えて?
まあそれはいいよ
でもオフになったら女の子と遊びまくりやがって。
オフも練習しろ!酒飲むな!太るな!夜更かしするな!なにより女の子と遊ぶな!
それから「同好会」のお前。
「サークル」だとぬるい。「部活」だとレベルに達しない。でもその競技が大好きだから続けたい。自分なりに一生懸命やりたい。そんな仲間募集中!!
そんな仲間を集めるな。
スポーツを楽しむな!お前らも苦汁をなめろ!
お前ら全員よく聞け
体育会系というのは
「青春の大切な一秒一秒を全て、雑務に捧げる事」
であり、
「思考も感情もいらね、いっそ機械になりてえよ」
と思うことであり、
「めざせ箱根駅伝!」等と地元の友達言われても「実は俺3軍なんだ」
と言い出せず「ありがとう!来年こそ出られるように頑張る!」
と言うことであり、
捻くれた性格のまま社会人になってしまい、上手く同世代の友達が作れず悶々とした20代前半を過ごすことだ!!
それ以外の体育会系は一切認めん!!!
・・・
全てを3軍のジレンマのせいにしましたが、普通に私の問題ですね。
絶対みんなこんなにひねくれてはいない。
でもきっと、同じ思いの人はいるはずです。
最後に
3軍で4年目の箱根駅伝を終えたそこの君。
お疲れ様!!
コメント