インディアン嘘つかない

僕の胸は膨らんでいる。

どうやら大須にはコンパルという老舗喫茶があり、なんでもそこのエビフライサンドが美味いとやめじろうと教えてくれた。

これは期待しかない。

しかも妻息子とは別行動となったので、期待に胸膨らませ放題。

僕を止めるものはいない。

 

いや、むしろ止めてくれ

 

このままでは熱気球は愚か、飛行船となってしまう。

そして僕は時計台にぶつかり、乗船していた少年が宙ぶらりんとなるがデッキブラシに乗った少女が助けに来てしまうではないか。

ふふふ。

とかなんとか言っている間に目的地に着いた。

しかもまあまあ早く着いたので、人気店にも関わらず並ばずに入店し、もちろんエビフライサンドを注文した。

 

・・・・

 

うみゃあ!!

 

優勝だがや

やめじろうありがとうだがや

ここでしか出来ない体験ってのはいいもんだ

胸もお腹も膨らんだ僕に怖いものは無くなった。

大須には様々なお店があるが、メイド喫茶だろうが、謎の外国人が営む葉巻屋だろうが、どんどん入ってやる。

ふふふ

僕のメンタルは武装され、心臓からは毛が生え、それは金髪に変わり、オラ強えヤツと戦ってみてえと言っていました

そんな時、致死量のウエスタンブーツが陳列された店を発見

 

おあつらえ向きだぜ

 

一瞬も欲しいと思った事はないが、これだけのウエスタンブーツを見れば何か新たな発見がある事だろう。

 

いざ!!

 

!!!

 

 

百聞は一見に如かずとはこの事

 

ここまでとは思わなかった。

 

ブーツはブーツだった。

 

あまりの期待はずれの結果にフラフラとしながら視線を落とすと

 

ちょこんと陳列された指輪を見つけた

 

おお、

なんか

買ってもいいかもな。

 

カカロットメンタルの僕は「ブーツより使えそう」という理由で指輪に購入意欲が湧いた

値札がないが、指輪の裏を見るとデカデカと$9.90と書いてあった。

間違いなく書いてあった。

「これが値段ですか?」と聞くと

店主は「違うよ、これは私の記号」とわけわからんことを言って、サッと指輪を僕の手から奪った

店主はその数字を虫眼鏡で注意深く確認した後

「これはインディアンがうんたらかんたらだから49000円。でも最近じゃトランプが大統領になって、うんたらかんたら」

店主は講釈の中に49000円という高額をぬるっと挟み僕を口説いてきたが、その間僕は9.9ドルを日本円に換算していた。

えーと、1ドルが150円だとして、ざっくり1500円か

???

1500円???

1500が49000円??

これは所謂ぼったくりというやつか?

 

それともこれが妥当な価格なのか?

 

「ターコイズは最近は採取してはいけなくなってきて、うんたらかんたら」

 

店主はまだ講釈を垂れていたがもう恐怖でしかない

セールトークは続いていたが「また来ます」という今年1番の大嘘をこいて逃げるように店を出た。

 

はー怖かった

 

しかし、僕はこれで終わるような男ではなかった

 

なにせ貴重な冬休み。

 

気合いを入れ直し、古着屋、雑貨屋、帽子屋、玩具屋、電気屋、楽器屋、本屋、ありとあらゆる店に入った

 

そう、コンパルで体感した心踊る出会いを求めて

 

しかし、ウエスタンブーツ屋のトラウマから疑心暗鬼へと変貌した僕にはどんなものを見ても高く見え

期待で飛行船のように膨らんでいた胸は素麺くらいか細くなった

 

そして、

時間は溶けた

飲まず食わず買わず出会わずときめかず発見もせず

 

ただ歩いて終わった

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